2020/09/30

No way

休講情報

SFC-SFSの障害のため、第1週授業(10月1日〜10月7日)は休講となります。各授業についての対応は、それぞれのページをご覧ください。

2020/09/14

認知言語学用語チャート

『英語学要語辞典』という非常に便利な本がある。書誌情報はこちら。出版元である研究社のサイトでは出てこない、ということは絶版か。残念。塾のメディアセンターには所蔵されている。

この本の中の、認知言語学関連の項目を、フランス語学専攻の赤松弥生氏と私で全項目担当している。PCのファイルを整理していたところ、企画をまとめていた時のメモが出てきた。2000年と日付がある。本blogspot上で表示するとフォーマットが崩れるかもしれないので、別ウィンドウにてこちらでどうぞ。辞典で解説するために選定した用語を関連づけてチャート化したものである。

もちろん、20年経って認知言語学という分野全体もだいぶ様変わりした。正確には、良い方向に発展した。この用語チャートも現在では回顧的な価値しかない。しいて言えば、初級の入門書に出るレベルの用語は大体カバーされているので、学び始めた人は知識のチェックをする役に立つくらいだろうか。認知言語学の概説的な授業を担当する立場であれば、このチャートにない項目をどのように盛り込むか、という観点で考えることもできようが、それができる人にはそもそも不要だわな(苦笑


2020/09/07

Berlin & Leipzig (Sep. 2006)

ライプツィヒで学会があり、途中ベルリンに寄った。通りすがりにつき、あまり写真をとらなかったが、一つ目はカイザー・ヴィルヘルム教会の内部。第二次大戦で破壊され、外部はその跡をとどめた形となっているのだが、内部のキリスト像は、モダンというか何というか。このキラキラ感はかなりインパクトがあった。

もう一つは、街角のポスターから。タンジェリン・ドリームという、知る人ぞ知るバンドのツアーの広告なのだが...結成40年か。ある時はプログレ、ある時はテクノ、ある時はファンから見捨てられ、というとにかく息の長いバンドである。しかし、どの時期のメンバーでやるのだろうか。



ベルリンを出発後は、東の古都ライプツィヒに移動。一つ目の写真は、やはりドイツにはツェッペリンがよく似合うということで。二つ目の写真は、たまたま立ち寄ったニコライ教会で行われていた、何と手回しオルガンの演奏会から。この時期、地元のお祭りがあったようで、ドイツじゅうから集まっていたらしい。教会の中は音響がよいので、手回しオルガンの音もあのサイズからは信じられないほど伸びがあっていい音だった。さらには何台かで一緒にオーケストラまで披露してくれた。本当は豪華な教会のパイプオルガンを生でじっくり聴きたかったが(ちょっとだけこの日も演奏はしてくれた)、まあ、珍しさという点では手回しオルガン大集合は圧巻だった。さすがにこのようなものを見るのは最初で最後だなと思う。



その後の3枚は、同じくライプツィヒにある、旧東独のシュタージ博物館。シュタージは、社会党時代のStaatssicherheitすなわち「国家保安組織」=「秘密警察」。「博物館」とはいうが、市の建物の一部を使った、小規模な常設展示という感じだった。展示の説明も、昔の学園祭でやった研究報告みたいに、模造紙にきれいな手書きで書かれたものもあり、手作り感がただよっていた。今でこそ、とりわけ自分のような旅行者にとっては、単なる見物で済むが、このような組織が、盗聴、検閲、密告、思想教育などを通じて、国民の自由を圧殺していたことは、恐るべきことであると共に、忘れてはならないだろう。

一つ目は「子供とスポーツ」と題された展示。この衣装を見て萌えてはいかん。ヒトラー・ユーゲントの伝統はここにも脈々と伝わっている。二つ目は、検閲マシン。特に国際郵便を検閲して、写真に撮った模様。身元や内容の記録だけでなく、筆跡鑑定にも活用したらしい。解説には、Fototisch -- hier wurden Briefe abfotografiert und damit u.a. ein Handscriftenspeicher angelegt. Damit sollten Deckadressen fremder Geheimdienste aufgespuert oder z.B. Personen erkannt werden, die unerlaubt "Westkontakte" unterhielten (hier stimmte meist die Handschrift im Innerin des Briefes nicht mit der auf dem Briefkuvert ueberein). とあった。メモのとりちがえもあるかもしれないが、ドイツ語に堪能な方は訳してください。三つ目は、何やら国家英雄とかへの記念品。見るからにチープだ。日本の殿様からの拝領品と似たりよったりかも。


2020/09/06

Solvang (Sep. 2007)


ソルヴァングというところに行ってきた。9月の後半にお祭りがあるので、遊山に行ったというしだい。サンタバーバラから一泊(距離的には日帰りも簡単)だったので、余裕をもって行けた。カリフォルニア南部、デンマーク系移民が作った村である。たぶん、かなりの年配でないとデンマーク語も話さないだろうが、街並みはヨーロッパの地方の街を思わせる作りで、落ち着いた雰囲気がある。観光地としてもよく整えられているが、素朴で控えめ、接客も非常に親しみがある。お店のグッズも、やや高いがたぶん他で買うよりも質がよい。財布のヒモを緩める>ちょっと高い買い物する>品質も良い長く使えるものが手に入る、という循環ができているようだ。



人形や民芸品なども、地元で作ったものと輸入品と両方だと思うが、さすがというか、クリスマスなどのグッズは目を見張った。中に、素晴らしい出来映えのサンタのフィギュアがあった。100ドルちょっとだったし、一生もんだと思えば、次に行ったときに買ってもいいかも。今回は、「麦の穂」で作ったクリスマスリースを買った。なかなかいい出来だ。ヨーロッパの田舎のほのぼのしたクリスマス、というノリ。

街は非常に小さい。そのぶん、店から店に動くのも容易である。デンマーク風の村だからかどうかはわからんが、パン屋の「デニッシュ」がうまい。あと、こちらは(って、カリフォルニアね)ワインの産地だから、そこらへんのお店でワインの試飲をさせてくれる。入った店は、6ドルで5種類を一口ずつ。「他に興味のある銘柄ある?」と聞かれて追加で注文したら、ただでついでくれた(そのキップの良さを買ってチップを置いたが)。あまりに気に入ったので、ボトルを一本買ってしまった。なんていい客なんだ。ついでに言うと、晩飯に入ったお店で出していたビールもうまかった。アメリカはだいたい、サッカー、F1、ビールといったヨーロッパ(というかドイツしか知らんのだが)の文化が不毛の地だとずっと思っていたのだが、ビールについては前言撤回。どうも、いわゆる地ビール業者というのが、想像以上にいいものを作っているらしい。飲んだのは、もともとワイン業者のFirestoneというところのビールで、スーパーに置いてある、イギリスから輸入のBass Aleよりもはるかに良かった。やっぱり大西洋を渡る船の船底で揺られた上に、大陸を横断して西海岸まで来る間に劣化したイギリスのビールよりも、鮮度の高い地元のもののほうがよい。ビールネタはまた後で。


写真に上げたのは、お祭りのイベントでやっていた、丸太からチェーンソーで作った彫刻である。これはとても可愛い。クマさんだと、このざっくり感がプラスにはたらく。制作・即売だったので、けっこうその場で売れていた。お祭りの終わりには、「お持ち帰り」されていた子たちがいて、たぶん地元の人が買ったのだろうけど、大きく「WELCOME」などと刻まれたクマさんが車の後ろにのっかって去っていく姿はなかなか愛嬌がある。しかし、チェーンソー彫刻は日本でもテレビで時々見たが、生で見ていると「これって、円空だよな」とかふいに思った。昨年の暮れに上野の展覧会で円空さんをたくさん見たのを思い出す。もし円空さんにチェーンソーを持たしたら...作品の質・量(それとサイズ?)ともに、さらに凄いことになっていただろう。


祭りの終わりには、小規模ながらもパレードがあった。ムダにショーアップするでなく、これまた素朴でいい感じである。こっちの家はピックアップトラックを持っているところが多いから、これがそのまま「山車」になるわけだ。その上に「玉座」が設けられ、デンマークの女王一家が鎮座ましましておられた(たぶん地元のおばさん)。でもってアバのダンシングクイーンが流れてきて、「今年はデンマーク女王がこの街を訪問してから○十年目!」とか可愛い少女たちがアナウンス。そうそう、女王様だけでなく、アンデルセンもパレードに参加していたな。肖像画でよく見る黒の背広に山高帽といういでたちで。

街には骨董屋もあって、かなり出来の良いヨーロッパの古時計がたくさん置いてあった。他にも、広い店舗には家具やキッチン用品など、いい趣味のものがあった。それはさておき、古いコインなんぞもあったのだが、ローマ時代のコインを見ていると、となりで見ていた人が、彼のグループの連れに(英語で)「見て見て、ローマ時代だってさ。ジーザスと同じ頃のなんだよな」と蘊蓄を垂れておった。確かに、その通りである。が、不信心な人間としては、彼らの「座標軸」みたいなものに一瞬、妙な違和感をおぼえた。何というか、目の前にある銀貨だか金貨だかは、2000年後の日本人にとっても「リアル」のきわみのような物体である。貨幣経済が現代ほど行き渡ってはいなかったにしても、そのお金が生身の人間の欲望、羨望、上昇と転落を象徴していたことは想像できる。まあ、一言で言えば「俗遺物」だ。ところが私のような者にとってはジーザスはほとんど神話上の存在で、現実感がない。中国古代の鼎や宝玉を見て、「すげー、神武天皇と同じ頃のだぜ」とは言わんよな。つまり、「骨董屋で売られているコイン」と「ジーザス」を同列にして語ることは自分にとってははミスマッチで、驚きみたいなのを感じたわけである。それだけで片付くことでもないのだろうが、べつに本質的な洞察があるわけでもないので、今日はこのへんで。

で、おまけにビールネタ。アメリカのローカルビールは大企業の品とは大違いで、非常にうまいのがある。 ここでは2つほど紹介。



その一。少し前に、地元で出ている黒ビールを飲んだ。これはエビスの黒といい勝負で、文句なしだった。缶に詰めるのはコストもかかるだろうし、ローカルビールは瓶詰めが基本。でもって移動距離が短いから、鮮度も高くてうまくなるなどと思ったり。世人はワインに旅をさせるなというが、ビールも同様、時間が経てば、ワインは(運が良ければ)貴腐するがビールは劣化するだけだから。

その二。昨日だか買って飲んだのが、「ゴーマンDQNビール」。英語だとArrogant Bastardという、とんでもない名前である。瓶には悪魔の絵がついている。おまけに瓶にプリントしてある売り文句が「あんたにゃ勿体ない」("You are not worthy"TM)だもんな。度数は7.2%で、ビールにしてはかなり高い。カテゴリーはエール(Ale)なので、黒の一歩手前くらいだろうか。苦みもしっかりあるがスムーズで、香りが素晴らしく、後口がさっぱりしつつも玄妙。約500ccの瓶を一本飲んだだけで、気持ちよく居眠りができましたとさ。

昨今、日本でも妙な名前のトウフが人気だったりするが、そんなノリだろうか?瓶にプリントされている文章が面白いので、ちょっと紹介。英語そのまま引用というのも芸がないし、ここはひとつ、Excite提供の翻訳システムにかけてみた。

横柄な私生児エール: これは攻撃的なビールです。 あなたはたぶんそれが好きでないでしょう。 あなたには味かこの品質と深さのエールを味わうことができる洗練があるのは、全く疑わしいです。 私たちは、あなたが、より安全でより身近な領土に執着するのを提案するでしょう。--- 多分、小さい醸造所、または1でそれを作ったとあなたに納得させるのを目的とされる何100万ドル広告キャンペーンでの何かが、それらの味気ないあわ立っている黄色いビールが、より多くのセックスアピールをあなたに与えるのを含意します。 恐らく、あなたは、広告キャンペーンがビール味をする何100万ドルが、より良いと思います。 恐らく、これを読むとき、あなたは言葉を口の動きで伝えています。

なかなか衝撃的な日本語である。成分表示も凄いぞ。

成分: 私たちの最もすばらしい大麦、ほとんどの攻撃的なホップ、最も透明な水、独占イースト緊張、および豊富な傲慢だけ。

最後の成分表示だけ訳語のチェックをしておくと、「ほとんど」は原文mostだから「最も」。「イースト緊張」はstrain、「品種」を「緊張」と間違っている。ま、野暮はこのくらいにしておいて、また1本あけるとしよう。