2021/08/21

実験認知言語学の深化

篠原和子・宇野良子(編)2021『実験認知言語学の深化』ひつじ書房

深化は進化でもあり、また真価でもあり。はたまたヤクルトスワローズの監督の現役時代の決め球でもあり。

と、駄洒落を並べたが、編者の一人の篠原氏は駄洒落および言葉遊びの名手である。本書冒頭の序文は、壮麗な回文となっているのでぜひご覧あれ。 なおジャケットもなかなかの出来映えである。やればできるじゃん>ひつじ書房。

 

内容は題名通り、認知言語学のさまざまな論点について、実験的方法で取り組んだ優れた研究を集めている。篠原氏と宇野氏は勤務先が理科系の国立大であり、ラボでの実験や物作りを推進する環境の中に身を置いているというのも大きい。だが、重要なこと(多くは新しいこと)を主張するさいに、客観的・経験的裏付けをとることは当然ながらあらゆる研究環境で必須である。本書はその様々な可能性を示してくれる。

なお、言葉遊びといえば、以前いろは四十七文字を使って歌らしきものを作ってみたことがある。その時は存在しない活用形を一つ作って誤魔化さざるを得なかった。無念。修正版を作るのは老後の楽しみにとっておこう。