2020/07/16

リモート空間でニュータイプ?

「塾」2020 Summer (No. 307)



標記題名の記事を掲載していただいた。興味を持たれた方はこちらまで。本来なら大学のキャンパスでふつうに手にとることができるのだが、今は事情が違うので、ここで紹介させていただこうかと。

2020/07/10

白露




梅雨の合間に、機材と書籍の運び出しで久しぶりに研究室に行った。植え込みに見つけた風景。すべて世は事も無し(<違うって

日本語と世界の言語の名詞修飾表現

プラシャント・パルデシ、堀江薫(編)2020『日本語と世界の言語の名詞修飾表現』ひつじ書房

言語類型論は、形態論、および統語論でも単文の構造(基本語順、格標識、一致など)の研究が先に発展した。複合的な構造の中では、名詞修飾、特に「関係節」と呼ばれる構造が早くから注目を集めてきた。その後、研究の進展によって−−日本語からの寄与も大きい−−関係節の本質を問い直す作業もなされている。本書はそうした成果の上に立ち、広範囲の言語からの事例報告と理論的考察を提供している。



COVID-19蔓延によるキャンパス封鎖のため、手元に来るのが遅れた。今学期は間に合わないが、次の学期ではさっそく授業の題材に組み込むことにしよう。

2020/07/05

NICEな論文

他エントリーで紹介した、『認知言語学の羽ばたき』、その冒頭にある松本曜氏の文章の中に、論文を書く上で示唆的な部分があると紹介時に書いた。今は七月、ちょうど塾生諸氏も期末レポートにとりかかる時期でもあり、ここで紹介したい。

「良い論文とされるものには、4つ要素がある」(p. 4)と松本氏は説く。これらの要素とはN=new(新しい知見), I=integrated(まとまり、一貫性), C=clear(明晰さ), E=empirical(経験科学としての妥当性)、頭文字をとってNICEになるという次第。とても分かりやすいアドバイスである。

多少補足すれば、新しさというのは多分に相対的なものである。学生のレポートでも、まずは自分にとって新鮮に感じられる事柄を報告してほしい。もちろん、新発見だと思ったことが、さらに調べたらよく知られていることだった、ということは誰にでもある。先行研究にあたる理由は、研究のアイデアを得るためだけでなく、自分の考えがどのくらい新しいかを確かめるためでもある。同時に、自分が提示する事柄には客観性の保証が求められることも念頭に置いてほしい。「自分がそう思ったから」では弱いので、複数人への聞き取りやアンケート、コーパス利用による数値的な偏りの認定、翻訳を利用した対照言語分析、条件をコントロールした実験(アンケート調査も設定次第では実験と同じ)などを採り入れることができれば素晴らしい。

それでは皆様、Have a NICE weekend!