2020/07/15

征服王と税金と

ええ、しょーもない語学ネタです。
イスカンダルについてwikiで調べた。イスカンダルといえばスターシャ、大宇宙の映像が出るとなぜか必ず女声のスキャットが聞こえてくるという演出が定着したのは宇宙戦艦ヤマトの功績だと思うが、今回はそちらのイスカンダルではなくて、同じアニメでもFate Zero、大王のほうのイスカンダル。

アレクサンドロスがなぜイスカンダルに? 調べると、Alexandrosのal-がアラビア語では、一種の接頭語(つか冠詞?)と誤認されたのが起源だそうで。アル・何とかってよく聞くから、あのアルね。しかし、残りの部分の-exandrosは「エクサンドロス」だから、「イスカンダル」になるにはまだステップがあるんじゃないかと。なお、最後のosは活用語尾だから他の言語に入るときは捨象されることが多い。日本語のwikiでは理由が不明とあったので、それならばと、ちょっと調査。発音記号風に書くと、

e > i
ks > sk

の二つの変化があったことになる。前者はよくある母音変化で(アラビア語はaiu3の母音だから、aiueoの5母音からマップするとそうなってもおかしくない)、では後者は、というと、ks と sk の転位(正確には音位転換metathesis)はあちこちの言語で散発的に見られるとのこと。で、具体例は?と調べたら、英語では

tax [taks] <-> task

が同語源だとか。確かに「税金」と「義務・課題」は意味も通じる。転移という現象は比較的稀で、それが起きる音も限られているそうだが、ksとskの転換はその一例ということのようだ。

というわけで、調査完了。探偵ナイトスクープの小ネタみたいだ。好奇心が満たされたのでめでたしめでたし。

(初出:October 2012)