2020/07/15

ヒップなグノーシス

Storn Thorgerson氏、4月に亡くなってたのか。69歳とは、まだ若い。惜しい。イギリスのアート集団、ヒプノシスの中心人物だった。



ヒプノシスといっても、催眠術ではなく、Hipgnosis。1970-1980年代の洋楽になじんだ者にとっては、Pink Floyd, Genesis, Led Zeppelinなどなどの素晴らしい「LPレコード」ジャケットのデザイナーとして記憶されていることだろう。一番有名なのはフロイドのThe Dark Side of the Moonのジャケットだろうが、個人的には10ccのジャケットも印象深い。楽曲がウィットにとんでいて、同時にけっこうシュールな面もあるので、ヒプノシスのジャケットはドンぴしゃだった。ちなみにDeceptive Bendsのジャケットはサザンの海のYeah!!に分かりやすく「オマージュ」されている。

そのヒプノシス、アートワークが「画集」の形でも出版されているのでつい手が出た。とうに絶版になってたもんで、保存状態の悪い中古を買ってしまったが、それはそれで仕方ない。一枚目の左側がそれ。

その後、アマゾンで関連タイトルを紹介されて、見事に乗せられたw 一枚目の右、二枚目のあれこれ。これらは幸いにして新品である。なおThorgerson氏ご本人は亡くなったが、ウェブサイトは存続している(生前に比べて情報量は少なくなったが)。

こうして見返すと、LPのジャケットは身近に感じられるアートだったなぁ。音源そのものは、今はCDからPCに置いて聞いてるけど、ジャケット惜しさにLPも処分できずにいる。喫茶店などでも、LPジャケットを壁に展示したりして雰囲気を出しているお店がときどきあったな(今もある?)。ヒプノシス以外でも、ギーガーの手になるELP「恐怖の頭脳改革」(<原題がBrain Salad Surgeryで、直訳すると「脳みそサラダ手術」w)なんぞはインパクト大だった。これからはCDすら消滅して、ダウンロードやストリーミング主体になるから、「ジャケット」のありようも変わっていくだろう。もっとも、それはそれで、新しい展開もありだから、うまくいけば面白いかも。

(初出:2013年06月)


追記:とある写真関係のサイトで、テーマを決めてコンペという企画があり、偶々見つかったのが、フロイドのComfortably numbをテーマにした写真。優秀賞をとった作品で、実にヒプノシス的な出来栄えである。自分の本の表紙に使いたいものだ(まあ言語学じゃムリか)。