2021/05/31

ベーシック英語構文文法

 大谷直輝 2019『ベーシック英語構文文法』ひつじ書房

構文文法(Construction Grammar)は創始者であるC.J. フィルモア氏が慎重な性格であったせいか、創始者自身による「原典」が存在しない。同氏が教えていたカリフォルニア大学バークレー校での文法理論の授業で使っていたテキストは一部で非公式に流通していたものの、理論的な教本として広く読まれたわけではない。結果、同氏とその共同研究者によるいくつかの専門的な個別研究が理論的な指導書の役割を代わりに果たすこととなった。

そんな中、日本でも入門的な紹介はさまざまな形で現れてきたが、本書は英語をホームグラウンドとする人にとっては格好の手引きとなっている。

 

自学にも適しているし、ある程度学んでいる人でも自分の知識の整理に加えて新たな課題の発見のきっかけとなるのではなかろうか。10章は「談話と構文」、11章は「構文の習得」となっており、さらに12章は「これからの構文研究」を語っている。新しい研究への展望を欲する読者にも役立つ本となっている。

追記:上記「入門的な紹介」 の一部がICCG4 (The Fourth International Conference on Construction Grammar)の公式ページから読める。Linksのセクションにある、Introductory Essays on Construction Grammarのページ。pdf版が上がっていない記事についても、興味のひかれたものを図書館で読むとよいだろう。年代的にはだいぶ前になるが、基本的な考え方を知る助けにはなる。