2021/05/12

The sound of silence

このサイトの書き込みでは音楽ネタはあまり投入しないようにしてきた。まあこんなのも書いたが、音楽は食欲や性欲など本能に関わることと似て、個人差が激しいので書いてもしょうがないわなと。ラーメン好きかどうかもわからない相手に、二郎系のお店の味の「系統樹」を蕩々と語っても鬱陶しいだけしね(なお私は二郎マニアではないw)。

今日のネタは、英語学習というexcuse付き。プロジェクト英語Bの授業ページでは(何ともminusculeだが)随時learning tipsを出している。そこでリスニング向上のために洋楽を聴き込むのはあーだこーだと書いた。で、一曲紹介。公式サイトから。


1982年、S&Gのセントラル・パークのコンサートから。Ten thousand people and maybe moreで地響きのような歓声があがるところは正に神降臨。ギター一本で演奏しているので、英語が聴き取りやすい。一方、歌詞は暗示が散りばめられていて英語自体のシンプルさに比してメッセージの方は難解である。S&Gに限らず、詞・詩は特定の人や物事を描いているように見えても、そこから抽出されたイメージなりメッセージなりに時空を越えて私たちは共感をおぼえる。1960年代末のアメリカと2020年代の私たちの間には相当の隔たりがあるけれども、この曲は心に響く、あるいは個人的な思い込みを受け容れてくれる。

そのつながりでネットを見ていたら、こんな文章に出会った。一年前に書かれた、東京在住のカナダ人によるものである(この記事が公開されたOxford Centre for Life Writingには色々なエッセイが掲載されている。ブックマークして折に触れて読んでみるとよいかも)。

Not Just Coronavirus: Disturbed’s “The Sound of Silence” Cover

現在、東京エリアのCOVID-19蔓延状況はこの記事が書かれた時よりも悪化している。The sound of silenceはこういう「響き方」もするんだなと思った。なお上記のエッセイで言及されている、Disturbedによる同曲のカバー(2015年)はこちら。これも公式サイトから。


エッセイの著者が東京在住なんで、Draimanってドラえもん?などと一瞬派手なボケをかましたが、もちろんそうではない。The sound of silenceの元曲はメロディーの良さとフォーク調のサウンドゆえにイージーに聴けてしまうのだが(そう聴かせてしまうところもすごい)、そのメッセージの深みに触れようとすれば、実はこれほどの圧力と熱量が必要だったのかと思い至る。ヘビーメタルの面目躍如でもある。