2020/04/29

朝日新聞「遠隔授業 取り組みは」(2020.4.21)

ふむふむ。自分個人については、大学からも十分に情報は提供されているし、有志で試運転を何度も行う機会に恵まれたので(良い同僚を持つことは幸せへの近道であることを実感)、自分の授業は「身の丈」でいけば何とかなりそうに思える。予想外の事態に対応できるか不安は残るけれども。

で、朝日新聞。中学や高校での実践例が紹介されていて興味深い。考えて見れば、学校数・生徒数どちらを見ても大学などより小中高のほうがずっと多いわけで、後者の実践について新聞でレポートするのは自然なことだ。記事では「オンライン授業の主な事例」として5通り紹介されている。これは大学で回ってきた、Webexを「公式アプリ」としつつも他の手段を組み合わせて、という説明の具体例と言える。朝日の記事では:

  1. オンライン会議型
  2. 動画+やりとり型
  3. 動画配信型
  4. 課題やりとり型
  5. 民間オンライン学習活用型

というタイプ分けになっている。1つ目が大学で想定されているやり方だ。2つ目は予め用意した素材を試聴してもらい、それを元にリアルタイムの授業というやり方。3つ目はリアルタイムの対話なしで動画配信オンリーのやり方。いつでも視聴できるようにすれば、すなわちオンデマンド方式ということになる(これは予備校で活用している方式だと想像)。4つ目はITを使ってはいるが、やり方は昔ながらの「通信教育」で、郵便を使うかネットを使うかの違い。5つ目は方式というよりはリソースの選択の違いで、2つ目と3つ目に通じる。

自分の授業に即して考えると、1つ目を基本としつつ、2つ目と4つ目の要素を入れることになるだろうなと。リアルタイムの発信だけでもよいと思うが、予め授業内容を「本日の要点」みたいな形できっちりとまとめた動画を作っておいて、それを流してから応用的なトークと課題をリアルタイムのやりとりで、というのも良いかもしれない。

4つ目の課題のやりとりはこれまでもメールや大学の授業支援ページでやってきたことなので、ふつうに組み込むことはできるだろう。手渡しである必要はないし。ただ、課題の解説についてはより丁寧な対応が必要になる。

そういえば思いだした。PowerPointのファイルは文字ベースでやれば小さく収まるのだが、カラーの画像や本のページをスキャンしたのを貼り付けると、サイズが一気に大きくなる。自分のPC上で考えなしに美麗な画像をペタペタ貼り付けた後で、いざアップロードしてブラウズして、という時に意外と重くなるので、事前にファイルサイズのチェックをしたり、画像の解像度を落としてから貼り付けたり、という作業は必要かも。

しかし朝日新聞で伝えられる中高での実践は、40〜45分の授業でも時間内に色々な作業を切り替えして、声かけも行って、とある。これを思うと、90分の大学の授業をどう成立させるかはしっかり考えねばならない(一部の大学は105分だが、他人事ながら心配になる)。やはり学生が自発的に動く部分をどう生かすかが重要で、それを模索していくことになるわけだ。

以下は与太話。言語の授業では、興味を持ってもらうためにその言語文化の品物をクラスに持ち込んで紹介することをよくやる。特にお菓子系の食べ物や衣服・アクセサリーは楽しい。遠い遠い昔の話だが、英語、といっても古英語(約1000年前に使われていた英語)の入門授業で、西洋の蜂蜜酒=ミードをふるまった先生がいたとかいなかったとか(真偽は定かでない)。中世の物語などでは、王が臣下にミードを振る舞うという場面があるので、それを感じてもらおうということだったのだろう。今だったら「大学の授業中に」×「未成年を含むクラスで」×「酒を飲ませる」とか、満貫じゃすまない、即ハコテンw 英国文化のノリで真面目にやるなら紅茶と手作りスコーンあたりだろうか。現状ではそれもできないが、授業の合間に簡単にできるレシピでも紹介できたら面白そうだ。

(こっそり追記:カナダといえばサーモン&カナダといえばメープル。鮭の切り身に小麦粉をまぶしてからバターと少量の塩胡椒でグリルして、メープルシロップをかけると想定外の美味なり。温野菜の付け合わせもおすすめ)